2013年2月9日土曜日

パザルジクの座像(ウィーン自然史博物館)


 今回、ウィーン自然史博物館では、ここの名物であるマリア • テレジアの宝石の花束や巨大トパーズも見て、恐竜たちにも会いましたが、とくに旧石器時代と新石器時代の遺物を丁寧に見て回りました。
 この博物館の売りの一つは、何と言っても「ヴィーレンドルフのビーナス」なので、自然とそれに似たものに目がいきました。踊る巫女“ダンシングクイーン”に次いで注目したのは、新石器時代の「パザルジクの座像」です。


「パザルジクの座像」は、1870年代頃にハプスブルグ家のコレクションに加わり、自然史博物館のオープンから3年経った1892年に、他の小さい粘土の像とともに同博物館に展示されるようになりました。詳しい発掘の過程などは不明ですが、ブルガリア南部ポロブディフ州中部の都市パザルジク付近の鉄道工事現場に新石器時代遺跡があり、そこで発見されたということです。



 この像の下半身は中空で、 手を膝の上に置き、丸いスツールに座っている状態です。鼻の孔、口、下半身の穴などは、粘土が乾く前に細い棒で刺して開けられています。身体には入れ墨かボディペインティングをしているような模様が、ひっかいて付けられています。
 南ヨーロッパから出土している同じような像と比べることで、およそ6500年前頃に作られた物と考えられています。新石器時代中期の座像は、まずブルガリアで作られ、それから中央ヨーロッパに広がったようです。6500年前のこのような像がどういう意味を持つのか、解釈するのは難しいですが、研究者たちはこの像を女神または神聖なシンボルと見ています。恐らく、一番古いデメテル(ギリシャ神話の豊穣神)の像、母なる大地の像なのかもしれません。参考:NHMTOP100

チャタル •フユックの地母神 
穀物の栽培を人間に教えた神、豊穣の神であるデメテルの原型と考えられるパザルジクの女神像は、トルコのチャタル • フユックの地母神やエフェソスの女神アルテミス、それに古事記に出て来るオオゲツヒメを思い起こさせます。どの時代においても、地球人の考えることは、みんな同じだというおもいが深まりました。

 自然史博物館では石器や土器の写真をたくさん撮りましたが、その一部です。





0 件のコメント:

コメントを投稿