2012年9月23日日曜日

Nach Hause


このエスカレーターではない
   成田空港第一ターミナルの搭乗口へ向かう後ろ姿を見送ってから、出国審査へ降りていくエスカレーターが見える大きなガラスの前に陣取って、
ウィーンの家に帰る"nach Hause" 飲み友だちを万歳三唱で送るのが、ここ数年の晩夏の慣わしとなっています。万歳されているほうはエスカレーター上で小さく手を振りますますが、万歳しているほうは周囲からジロジロ見られるので、チョッと恥ずかしいかな?

   今回は、ちょうど赤服軍団がエスカレーターを降りていくところでした。隣りにいた男性たちが「あれは何の制服?オリンピックだ!」と騒いでいました。「あれはオーストリア航空の客室乗務員たちよ」と教えてあげたかったけれど、万歳で忙しくその暇はありませんでした。ちなみに、彼女たちの靴はもちろんのこと、ストッキングまで真っ赤。まるで赤鬼!

可愛い赤鬼たち

  ウィーン大学講師の飲み友だちは、毎夏一ヶ月帰国し、10月の授業開始に備えて帰っていきます。行くのか帰るのかで少々もめます。「そりゃ、自分の住んでいる場所が帰る所よ、家族が居なくてもそこが自分の帰るところだ」と私は主張します。日々の糧を得て、ウォルフガングとかジーグフリートとかイーナとか、日本では馴染みのない名前の恩師や友人たちがたくさんいる場所こそ、帰る場所だと思います。

飲んだほんの一部

  飲み友だちとは毎晩酒盛り、食事に合わせて飲みました。好きな飲み物はワインがダンゼン第一、そして清酒、時々ウイスキーやらジンやら。今年も庭のミントをふんだんに使ってモヒートを作ったり、自家製のシソジュースでカクテルらしきものを作ったりもしました。
  時々遠征もしました。遠い順に、自宅から約40分かかる清里のブリュワリーレストラン「Rock」。大泉の「ARU」バー。
ロック
小泉のアイリッシュパブ「Bull & Bear」
ギネスが日本一美味しいパブ


10分で行ける一番近い信濃境の酒呑み処「棒虎亭」など。
高森の桜が美しい棒虎亭
クルマの運転は、ちょうど飲まない人がいるので、毎回お任せです。私たちにとっては最高に好都合で、何処へでも出かけられます!






  今週の資源ごみの日、出した空き瓶の量は、ご近所さんのと比べ、群を抜いていました。ワインを大量に消費するお近くのベネディクト修道院すら足元にも及ばなかったくらいでした。 



2012年9月10日月曜日

ワレモコウ



8月22日、山辺の道で写したワレモコウと赤とんぼ

9月6日、ワレモコウとキンミズヒキ


 「ワレモコウを見つけてきたわよ」と手渡したら嬉しそうに「もう秋ね」と喜んだ母が居なくなって、もう一年が経ちました。今年の夏は、母のいない淋しさを感じさせないほど千客万来、賑やかな高原の夏でした。



 この夏は、岡山 • 玉野に住む弟が、600キロの距離をオートバイを飛ばしてやってきたことから始まりました。それから一週間も経たないうちに、今度は友人と上の弟と一緒にセスナで松本空港まで飛んできました。弟たちの次にやってきたのは、夙川の友人でした。この二人の友人は、新幹線と中央線を乗り継いできました。その後は次々に東京方面からの来襲、高原の夏ならではの楽しさでした。                         
                       
 

               お客さまがいらっしゃると、庭で食事となります。
               涼しい風に吹かれながらロウソクの灯かりで。

夜のアズマギク

  















庭のミントを使ったモヒートでアペリティフ
 
  今年はとくに野菜が美味しい夏でした。いただいたトマト、ジャガイモ、トウモロコシで、いろいろ美味しいものができました。                    


我ながら「まいう〜」のオレキエッティのアマトリチャーナ



Donalの『Slow-Roasted Cherry Tomatoes』
アイルランドのイケメン料理人 Donal Skehan のレシピ  “じっくりローストしたチェリートマト"

オリーブオイル大3、バルサミコ大1を混ぜ合わせ、半分に切ったチェリートマトを入れてさっくり合わせる。トマトの切った面を上にして、それを190°のオーブンで45分焼くだけ。






Jamie Oliverの『Stir-fried corn with chilli, ginger, garlic and parseley』


Donalの『Sofie's Squashed Potatoes』
ドナルの"ソフィーのつぶしたジャガイモ"

小さいジャガイモを茹でる。
オリーブオイルを塗ったトレイに並べ、軽くつぶす。
ニンニク2片、ディジョンマスタード大1、タイム、ローズマリー、レモン汁半個分をよく混ぜ、ハーブミックスを作る。
ジャガイモの上にハーブミックスをかけ、
200°のオーブンで30分ほど焼く。

2012年9月2日日曜日

発掘現場のワクワク

 2012年8月12日に 八ヶ岳自然文化園のイベント「遺跡 • 考古館めぐり第3回北杜市周辺」が開催されました。北杜市は富士見町に隣接しているため、縄文時代後 • 晩期の遺跡「金生遺跡」にも「北杜市考古資料館」にも行ったことがありますが、講師である長野県考古学会会長の会田進氏について行くと必ず新しく面白い発見があるので、期待に胸を膨らませて参加しました。

金生遺跡

 期待どおりだったのは、白州町にある発掘中の遺跡見学でした。国道20号線にある白州町は南アルプスの麓にあり、サントリー白州蒸留所があるところで有名です。南アルプス天然水とその水で作った白州ウイスキーの蒸留所見学やバードサンクチュアリでの散策は、当地観光のお勧めスポットの一つです。

 南アルプスから尾白(おじろ)川、神宮川などが白州町内を流れて釜無川と合流しています。(釜無川は甲府盆地を流れて笛吹川と合流し、そこから富士川となって太平洋に至る)。

 尾白川の扇状地にある発掘中の遺跡(縄文時代前期)見学では、北杜市教育委員会学芸員の佐野さんが日曜日でお休みにもかかわらず出向いてきて、遺跡の説明をして下さいました。


説明を聞く一行

 見学の間、なかなか遺跡の名前が出てこないので、私はおもわず「この遺跡の名前はナントいいますか?まだ名前はないのですか」と訊ねましたら、「堰口遺跡」というのだそうです。

   堰口遺跡 


 この縄文時代前期の遺跡は尾白川の氾濫で埋まり、その上に平安時代の遺跡があったので、現在の圃場整理まで見つからなかったとのこと。遺跡の広さは8000㎡あり、65軒の住居址が発掘されました。原村の阿久遺跡に似た遺跡で、阿久遺跡と同じような集石遺構があります。住居は富士見町の藤内遺跡とつながりがあるようで、壁は土ではなく、板を廻らせています。



 この遺跡には特徴が二つあります。一つは遺跡全体に溝が住居をよけてクネクネと掘られていること、もう一つは集石土壙(石がいっぱい詰め込まれている穴)がたくさん発見されたことです。

溝の跡

向こうの川から引き込まれたクネクネ溝


 ワクワクドキドキ。この説明を聞いて、私はたちまちここに住んでいた縄文人の姿を想像しました。川から家のすぐ外まで水を引き、そこに平たい板状の石(板状石も出土している)を据え付けてドングリを調理していました。まずその石の上でドングリを叩きつぶし、水に晒し、土器で煮ながら灰汁抜きをして、柔らかくしたものを焼いた鹿肉で巻いて食べたり、ドングリクッキーにしていたりしました。

BBQの穴(集石土壙)
集石土壙は大抵お墓だと結論づけられるため、「ふん、またそう言うんだろ」と考えていたら、「こうした集石土壙では、多分BBQをしていた」と若手考古学者の佐野さんが話したので、飛び上がらんばかりに驚き、大喜びしました。会田さんも「そうか」と唸りました。考古学界的には、かなり勇気のいる大胆な発言です。日本の考古学の未来は明るいぞと、うれしくなりました。

 縄文時代のBBQは、いわゆる石蒸し料理です。拳大の石を焼いて穴に放り込み、朴葉を巻いた肉を置いて、さらに焼き石を放り込んで蒸し焼きにします。南太平洋の蒸し焼き料理ムームー(パプアニューギニア)やロボ(フィジー)のようなものです。大きな地面の穴を見ていると、縄文人たちの楽しい宴の様子が目に浮かんできました。

 鹿肉も大量のドングリも、北杜市埋蔵文化センターでその証拠を見せつけられ、これで私のワクワクドキドキは完璧なものとなりました。
 
火事になった竪穴住居跡から出土した鹿の角(薄皮が残っている)

出土したドングリ

出土したての遺物を特別に見せていただいた。これは阿久友の会の特典!



2012年9月1日土曜日

コスモス




高原は9月になるとすっかり秋になり、花も野菜も少なくなる頃なのですが、今夏は花も野菜も成長が遅かったので、今頃、野菜が美味しくなっています。

        それでもコスモスと青空は秋の定番だなあと感じます。




原村で美味しいミニトマトを作っている方から毎日たくさん実っているから採りにいらっしゃいとお声がかかったので、今朝摘みに行ってきました。

トマトの花
















黄色いトマト、イエローミミ

         イエロー系のミニトマトは赤いのより美味しいです。原村八ヶ岳文化園の縄文発信講座が開かれていた期間中、講座の手伝いをしながら、美味しいミニトマトをおやつ代わりにつまんでいただいていました。



何種類ものトマトをバケツに一杯いっぱい頂いてきました。
トマトトマトで気分はイタリアン!





                       トマトアレンジメント
                       水の中のトマトはもちろん食べます。