この像の大きさは11cmで、ライムストーンをフリントで彫ったものです。もともとは赤いベンガラでコーティングされていました。赤という色は、氷河期に生きた人々にとっては生命 • 死 • 再生のシンボルであったようです。小さな像なのに、細部は丹念に掘られています。細い腕にはギザギザ模様の腕輪をはめ、ふくよかな胸の上に腕は置かれています。手の込んだヘアスタイルをしているのでしょうか?それとも編んだ帽子を被っているのでしょうか?よく分かりませんが、ビーナスはその頭を下げ、軽く俯いているので、顔の表情ははっきりしません。
フランスからロシアにかけて出土された旧石器時代の小像は、どれも女性像で、顔と足はなく、両腕も簡略化され、ヴィーレンドルフのビーナスに似通っています。顔が表現されていないのは、個を超えた存在を示しており、普遍的メッセージを持つ者をイメージしているようです。そのメッセージとは何か、現代に住む私たちには永遠の謎です。
「ヴィーレンドルフのビーナス」と名付けられた小さな女性像は、ウィーンの自然史博物館に展示されています。久しぶりに彼女に会いたくて、2013年1月14日に雪の中を出かけました。ウィーンのインフラ整備は博物館にも及び、案内板や展示方法が進化していました。ビーナスを探してショーケースを覗き込みましたが • • • いません!しかし、いないのは当然、いつの間にか彼女専用の特別キャビネットが作られ、その暗い小部屋の真ん中に鎮座ましましていました。館内の写真撮影は、フラッシュさえ焚かなければお咎めなしなので、撮り放題。
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ビーナスと記念写真 |
ヴィーレンドルフのビーナスに会った後は、アイスマン「エッツイ」や小さい石像などを見て、館内カフェでメランジュを飲んで一休みしました。
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エッツイの想像図 |
帰国して荷物の片付けを終え、さあ、ビーナスをと袋を開けたら、ジャーン!ない…無い…ナーイ!ビーナスが一個しかない!!!超ガッカリ。
早速ウィーンにスカイプし、「ビーナスの片方をそこの部屋に落としてきたかも、探して」と訴えました。しかし、どうもないらしい • • •。ピアスを片方だけするのも格好いいかもと考え始めていたら、「体長1cmの銀のビーナスが出土」とウィーンからメールが届きました。
もう一つのビーナスは在ウィーン |
ライムストーン:砂岩のこと。堆積岩(サンゴ礁など、石灰質の生物の遺骸が堆積してで きた)の石灰岩 細工しやすい石だがウロコ状に剥がれやすい
フリント: チャート(堆積岩)石を加工する道具として使われた
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