2013年11月21日木曜日

ドライハーブリース2013

  11月になると、長野県富士見町のピース農園ではその年に栽培し、刈り取り、乾燥が終わったフレッシュなドライハーブとドライフラワーが完成します。北原さんによると、天候や害虫による被害などのために、思った通りの花やハーブを収穫するのは難しいそうです。去年はシルバーキングやトウガラシが豊富にありましたが、今年はどんな花があるかとワクワクしながらピース農園へ向かいました。
 日頃から花を選ぶとき、私は花屋の店頭で真っ先に目に飛び込んでくる花と色が「そのとき選ぶべき花」だと私は堅く信じています。まず目についた花を中心に手に取り、それからそれに合うものを選んでいきます。今年、ピース農園の乾燥室に入って最初に飛び込んできた色は、紫・ピンク系統で、花は紫のケイトウとダスティミラーでした。

広げた花材の一部
ドライハーブリースのベースはタイム、ローズマリーなどで出来ており、その上に好みの好きな色、花を置いていきます。ベースも飾る花も全て正真正銘のドライハーブとドライフラワー、出来上がりの大きさは約30cmです。今年はもう少し大きなリースを壁に飾りたかったので、正真正銘のハーブリースは断念しました。その代わりに蔦や白樺で出来たリース台を用意して、約55cmのリースを作り上げました。

べースにつけていく
まだ未完成
大きなリース
材料:タイム、マウンテンミント、マジョラム、オレガノケントビュウティ、
   ダスティミラー、  ケイトウ、ヘリクリサム、センニチコウ、ラクスパー、
   アンモビュームなど

壁にかけ横から見た図

シカゴの友人のためのリース

フレッシュな感じで気に入り
横浜の友人のためのリース

この色も美しい
リース2012とリース2013

リース2012はまだ元気だけど現役引退

2013年11月5日火曜日

北イタリアのマラヴァジワイナリー

 11月半ばになると、毎年ボジョレーヌーボーが話題に上がります。ワインの新酒はボジョレーだけでなく、世界各地に美味しい新酒があるのに、何故か日本ではボジョレーヌーボーと大騒ぎするのはマスゴミ(マスコミ)のせいです。
 2013年7月に北イタリアのマラヴァジワイナリーを訪れたのは、今もって心温まる思い出となっています。マラヴァジワイナリーは、イタリア最大の湖ガルダ湖の近くのポッツオレンゴという小さな村にあります。北イタリアはバローロやバルバレスコのピエモンテ、ソアーベ、ヴァルポリチェッラのヴェネトがあり、名立たるワインの産地です。



 マラヴァジ訪問の朝、「この暑いのにもかかわらず、ブドウ畑や倉庫などをうろうろと案内されるだけだろう」と、夕べ美味しくたくさんいただいたワインの余韻がまだ残っている頭でぼんやりと考え、普段着のまま出かけました。

かんかん照りの道

大きなトラックが塞いでいたゲート
あ"—、夕べの夕立は何処へ行ったのか、大地はカラカラ。静まり返ったワイナリーのゲートは、大型トラックに塞がれていました。インターフォンを押し、小脇のドアを開けてもらい、どの建物かと探しながら歩いていると、一番奥の建物から賑やかに「こっちこっち」と声がしました。
 賑やかな声の主はマルタと老婦人でした。マルタはワイナリーの接客係で、老婦人を「ここのおばあちゃん」と紹介しました。老婦人は待っていましたという風に「さあさあ、ここにお座りなさい」と大きなテーブルに案内してくれました。
 テーブルにはすでにグラスがセットされており、マルタの説明で早速ワインの試飲が始まりました。まず感心したのは、洗練されたボトルとラベルのデザインでした。でも、ボトルより中味が大切。マラヴァジワイナリーの一番のお薦めは「Rosa del Lago」という、ルガーナ種のピンク色のワイン、キアレットです。

マラヴァジワイン整列
キアレット Chiaretto
 「キアレット」とは北イタリア、ガルダ湖周辺で生産されている「濃いピンク色のワイン」です。ロゼワインと呼ぶには忍びない、美しいチェリーピンクのワインです。地元の人たちはきっぱりと「ロゼではないキアレットだ」と断言します。この「ピンクワイン」の話をソムリエの弟にしたところ、ワインといえばフランスしかない頭の弟はヘンな顔をして「“ロゼ”だろう」と。それでも私はキアレットを「ピンクワイン」と主張します。「il vino di una notte」、一夜のワイン。ブドウを搾り、一晩ブドウの皮なども一緒に漬け込むことによって、キアレット独特のピンクの色合いが出来上がるそうです。主にサンジョベーゼ、バルベーラ、グロッペッロなどの種が使われ、フレッシュで軽く、酸味に甘さをほのかに感じられるワインです。

 試飲が始まってしばらくすると、セールスマネジャーのエドアルドが出荷を終えて部屋に入ってきました。そしてちょこんと椅子に腰掛けるや、とうとうとお喋りを始めました。今思い出すと、ワインの宣伝などは何もしなかったようでした。日本との取引はないが、中国からは引き合いが来ていると言っていたくらいでしょうか。あとはイタリアの街や人々の話ばかり。「ダニエーレ(ワイナリーのオーナー)もマントヴァから戻ってくるから、お昼はノンナの料理を一緒に食べて行ってくれ」と言い残し、何処かへ行ってしまいました。


見せびらかしのパルメザンチーズ
 
さあ、今までニコニコしていたマンマ・マラヴァジ(ノンナ)の出番です。「今日は暑いからトンノの冷たいパスタを作りますよ」「その前にクラテッロはいかが」パルメジャーノ・レジャーノは「こんな大きいのがあるのよ」と見せびらかすだけで、代わりにグラナパダーノを切ってくれました。

マントヴァのメロンとコッパ(まいうー)


 ワインと料理が進むにつれて、マンマは「私の叔父は日本で仕事をしていた。その時恋に落ちたけれど結婚を反対され、イタリアに戻り、一生独身を通した。叔父からこの広大な土地を貰って、ワイン作りを始めた」と話してくれました。「一生独身を通した」ロマンチックな話に感激し、マンマが1944年生まれだということで、「私の方が一つ上よ」「若いね」「そんなことない」などとマンマ・マラヴァジとワイワイ、意気投合しました。

「マンマ、今年のワインはまーだ? 届くのを待っていますよ!」

「もうすぐワインを出荷するよ」とダニエーレ